夏に日ごろお世話になっている方に感謝の意を示す「お中元」。
では、お中元をもらった側はどうすればよいのでしょうか。
この記事ではお中元をもらった時のお礼の方法について紹介します。
お礼状はいつ送る?
お礼状は原則、少しでも早く感謝の意を示すためにお中元をもらったらすぐに送ります。7月16日~8月7日頃(立秋)の頃に送る場合は「暑中御見舞」「暑中御伺」になります。また、立秋を過ぎてから9月上旬ごろまでに送る場合は「残暑御見舞」「残暑御伺」になります。
お礼状例文紹介
(1)お礼状の書き方
お礼状の全体の流れは次のようになります。
②時候のあいさつ
③お礼を述べる
④自分だけでなく、家族も喜んでいる様子を具体的に書く
⑤先方の体調を気遣う言葉など
⑥結びの言葉(敬具)
横書きの場合は、宛名・本文・日付・自分の名前の順に書きます。一方縦書きの場合は、本文・日付・自分の名前・宛名の順に書きます。なお、手紙の書き方の基本については、こちらの動画で紹介されています。
【これで完璧!① 手紙文の書き方】
こちらでは手紙を書くときに何を使うか・表書きの書き方・構成などについても紹介されています。
(2)時候のあいさつ
正式な手紙の場合、時候のあいさつが必要になります。ここでは主に7月・8月を指す時候のあいさつを紹介します。
・盛夏の候
・猛暑の候
・大暑の候
・炎暑の候
・夏祭の候
・暑さ厳しき折
・暑中お見舞い申し上げます。
・降りしきる蝉の声に夏の盛りを感じる頃になりました。
・天の川がひときわ美しい季節となりました。
・七夕の笹がわずかな風に揺れています。
・連日厳しい暑さが続いています。
・海開きの便りが聞かれる頃になりました。
・海山が恋しい季節になりました。
・空の青さが真夏の到来を告げています。
・入道雲が空に映え、まぶしい夏の到来を告げています。
・残暑の候
・秋暑の候
・晩夏の候
・立秋の候
・処暑の候
・立秋とは名ばかりの厳しい暑さが続いています。
・土曜あけの暑さひとしおの候
・残暑お見舞い申し上げます。
・連日厳しい残暑が続いています。
・連日厳しい残暑が続いています。
・秋まだ遠く、厳しい残暑が続いています。
・立秋を過ぎ、厚さもようやく峠を越したようです。
・吹く風に、ゆく夏の気配を感じる頃となりました。
(3)具体的な例文
①目上の方へのお礼状
拝啓 盛夏の候、皆様には益々ご健勝のことと存じ上げます。
さて、このたびはお心のこもったお品を頂戴し、誠にありがとうございました。
いつもながらのお心遣い心より感謝申し上げます。
暑さ厳しき折からご自愛のほどお祈りいたします。
まずは略儀ながら書中にてお礼申し上げます。
平成○○年○月○日
自分の名前
②知人へのお礼状
拝啓 毎日暑さが厳しい日が続いておりますが、お変わりなくお過ごしでしょうか?おかげさまで、私たち家族一同元気に過ごしております。
さて、本日はお心のこもったお品を頂き、誠にありがとうございました。
子どもたちも大変喜び、家族みんなで美味しく頂戴いたしました。いつもながらの優しいお心遣い心より感謝申し上げます。
まだまだ暑さは続くようですので、体調を崩されませぬようご留意ください。
まずは略儀ながら書中にて御礼申し上げます。
平成○○年○月○日
自分の名前
また、お礼の品をつける場合の文例はこのようになります。なお、書き方は縦書きの場合の記入例になります。
さて、このたびは思いがけず結構なお品を頂戴し、本当にありがとうございました。主人も子どもたちも大喜びで、早速美味しくいただきました。いつも過分なお心配りを頂き、恐縮いたしております。
本日別便にて心ばかりの品を送りました。お口に合うかどうかわかりませんが、ご笑納ください。
暑さはまだまだ続くようです。どうぞご自愛くださいませ。
略儀ながら取り急ぎ書中にてお礼申し上げます。
平成○○年○月
○○様
③会社で出す場合のお礼状
●ハガキに印刷する場合
さて、このたびは結構なお品をお送り頂きましてありがとうございます。ありがたく拝受しました。御厚志に改めて御礼申し上げます。
暑さはこれからが本番でございます。皆様どうぞご自愛くださいませ。
略儀ながら書中をもちまして御礼申し上げます。
平成○○年○月
役職 自分の名前
●OA用紙(A4サイズ)の場合
相手の会社名
役職 ○○様
謹啓 盛夏の候、貴社におかれましてはますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
平素は格段のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さてこのたびは結構なお品をご恵贈頂きましてありがとうございました。早速一同でありがたく頂戴いたしました。これからもご信頼にお答えできるよう誠心誠意努力してまいる所存でございます。何卒ご指導のほどよろしくお願い申し上げます。
暑さはこれからが本番でございます。皆様どうぞご自愛ください。
末筆ではございますが、貴社のご発展と皆様のご健勝をお祈り申し上げます。
略儀ながら書中を持ちまして御礼申し上げます。
会社名
役職 自分の名前
●お礼の品をつける場合
相手の会社名
役職 ○○様
謹啓 酷暑の候 貴社におかれましてはますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
さて、このたびは結構なお品をご恵贈頂きありがたく拝受いたしました。ご芳志誠にありがたく、厚く御礼申し上げます。(相手の会社)には日頃より何かとお力添えを頂き、弊社といたしましても非常に心強く思っております。今後とも何卒ご指導のほどよろしくお願い申し上げます。
本日別便にて、心ばかりの品をお送りいたしました。お口に合うかどうかわかりませんがどうぞご受納ください。
暑さはこれからが本番でございます。皆様におかれましてもどうぞご自愛くださいませ。
まずは略儀ながら書中を持ちまして御礼かたがたご挨拶申し上げます。
会社名
役職 自分の名前
④上司から部下にお礼状を送る場合
上司から部下へは通常、お礼状を送ることはありません。しかし、お断りの意味を兼ねる場合とお返しの品を送る場合はお礼状を送ります。
・お返しの品(帰省先の土産)を送る場合
先日は結構な品を頂きありがたく拝受しました。お心遣いありがとう。
(帰省先での様子)
本日心ばかりですが別便で地元の名産品を送りました。口に合うかどうかわかりませんが、どうぞご受納ください。
暑さはまだしばらく続きます。○○さんも体調管理には気を付けて。奥様にもよろしくお伝えください。
自分の名前
○○様
お礼の方法
お礼の方法には、「電話」「メール」「手紙」の3種類があります。親しい間柄や友人の場合、「電話」や「メール」ですぐにお礼を伝えても問題はありません。しかし、正式には「手紙」でお礼を出すのが礼儀になっています。
「手紙」には「便箋」と「ハガキ」の2種類があり、どちらを使用するかは送る先によって変わります。
(1)個人で送る場合
・知人宛て
正式なお礼状は便箋に縦書きで記入したものになります。しかし、お礼状で最も大切なことは早くお礼を伝えることですから、横書きでもハガキでも問題はありません。
・目上の方宛て
目上の方に送る場合、ハガキは失礼に値します。そのため、便箋に縦書きで記入した、正式なお礼状を使用します。
(2)会社から送る場合
会社にお礼状を送る場合も正式な形は便箋に縦書きで記入したものになります。しかし、職場によってはお中元が多く届く場合もあります。その場合は早くお礼の気持ちを伝えるために、ハガキに印刷したものを使用することがあります。
お中元の時期
中国に伝わる宗教の一つ、道教では陰暦7月15日のことを「中元」と呼び、神を祀る日としていました。その後、仏教の「盂蘭盆会」と混ざり、先祖の霊を祀るようになりました。陰暦の7月15日は、太陽暦でいうと8月中旬を指します。
そのため、地域によって「お中元」の時期が変化するようになりました。北陸・関東・東海では「お中元」といえば7月1日~7月15日までを指すのですが、それ以外の地域では7月下旬~8月15日までを指します。お中元の詳しい時期やお中元の時期以外に贈る場合の「のし表書き」の書き方について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
お中元の時期や「のし」、お中元に贈ったほうがよいものなど、お中元の基礎知識を紹介しています。
お中元のお返しはいつまで?
お中元では、日ごろお世話になっている方に対して贈り物を贈ります。そのため、贈られる側には特にお返しを求めていません。一方、友人など「贈る側」と「贈られる側」の立場が同等の場合もあります。
その場合は「御礼」「お中元」として、相手と同額の品を贈るようにしましょう。また、お礼の品は贈らない場合でも、相手から贈り物をもらったら感謝の意を示す必要があります。そのため、お礼状は送るようにしましょう。
お中元の際の返礼の仕方について、詳しくはこちらの記事で紹介しています。
お中元のお返しの方法の他、お中元を辞退したい場合についても紹介しています。
いかがだったでしょうか。失礼のないようにするためにも、体裁の整った手紙を書くことも大切です。しかし最も大切なことは、心のこもった感謝の言葉をできるだけ早く相手に伝えることです。紹介した例文を参考に、心を込めてお礼状を書くようにしましょう。