冠婚葬祭

キリスト教プロテスタントの葬儀マナー、ここは気を付けよう

こんにちは、ライターのソラです。

先日、友人がキリスト教式で行われた葬儀に出席した話を聞きました。

亡くなった方は、プロテスタント系の聖公会教会の信者だったそうです。そのため葬儀はプロテスタント式で行われたそうです。

実は出席した友人はカトリック教徒なのですが、彼女いわく「カトリックのお葬式とは、色々と違った」と言っていました。

その時は詳しく聞かなかったのですが、後日その違いが気になって調べることにしました。

私はキリスト教徒ではないので、プロテスタント式もカトリック式も、区別が付きません。

そんな状態で葬儀に参列することになったら、知らない間にマナー違反をしてしまうのではないかと心配になってしまいました。

今回は、プロテスタント式とカトリック式の違いを比べながら、プロテスタント式葬儀のマナーと、その注意点を見ていきましょう。
 


 

前夜式で気を付けること

仏式と違い、キリスト教では本来お通夜を行う習慣はありませんが、日本の慣習にならって前夜式が行われています。カトリック式もプロテスタント式も作法に大きな違いはありませんが、それぞれの呼び名や形式には違いがあります。

プロテスタント式のお通夜にあたる「前夜式」は、カトリックでは「通夜の儀」と呼ばれます。「前夜式」は牧師によって、故人の遺志を尊重した形式で行われ、「通夜の儀」は神父によってカトリックの宗教儀式を尊重した形式で行われます。

では、プロテスタント式の前夜式の具体的な内容を見て行きましょう。

プロテスタント式前夜式の流れ

「前夜式」は一般的に、次のような流れで行われます。

・讃美歌斉唱と聖書の朗読
参列者全員で行います。讃美歌の歌詞や聖書は用意されていますので、それを使います。

・説教と感話
続いて牧師からのお話があります。通常は聖書から引用した話を元にする「説教」と、故人の功績や思い出などについて話す「感話」とがあります。

・献花
参列者が順番に、個人にお花をお供えする「献花」を行います。社葬などで参列者が多い場合は、省略されることもあるそうですが、通常は牧師から始め、喪主、遺族、親戚そして参列者の順に献花します。

・感謝の言葉
献花の後(献花の前の場合もあり)に、遺族代表の方から参列者に向けて、感謝の言葉が述べられます。

・茶話会
前夜式の後に、故人を偲びながら思い出話などをする、「茶話会」というお茶と軽食を囲む会があります。通常は牧師と故人と近しい身内の方々だけで行われますが、親しい友人を招くこともあるそうです。

 

プロテスタント式の前夜式で気を付けたいマナー

上で紹介した前夜式の流れの中で、特に気を付けるべき4つのマナーについて詳しく見ていきましょう。

1.献花のマナー
献花する花は用意されているので、持参する必要はありません。一般参列者の順番は最後です。次のような作法で、献花を行いましょう。

・順番が来たら祭壇に進み、遺族に礼をします。花の部分が右側にくるようにして、両手で遺族の係の方から、花を受け取ります。このとき、右の手のひらは上向きに、左の手のひらは下向きになるようにします。

・根元が祭壇の方に向くよう、右に回して花を持ち替え、左手を下から花に添えて献花台の上に置きます。

・手を合わせて黙とうするか、深く一礼します。そのまま2、3歩下がり、遺族に一礼してから席に戻ります。黙とうの際、カトリックでは十字を切り、プロテスタントでは胸の前で手を組みますが、信者以外は、普通に手を合わせて黙とうしても構いません。

 
実際に献花をしたことがないと、イメージが湧きにくいかも知れません。こちらの動画で、献花の一連の動作が見られます。ぜひ参考にしてください。
 

【葬儀における献花作法について】
 

 

2. 讃美歌斉唱と聖書朗読のマナー
プロテスタント式の前夜式では、故人が好きだった歌詞や祈りの一節を書いた紙を渡されます。聞いているだけでもいいのですが、故人を偲ぶという意味では、なるべく一緒に歌い朗読したほうがいいでしょう。

3. お悔やみの言葉のマナー
仏教式のお通夜の場合は、退出の際に遺族の方にお悔やみの言葉をかけますよね。プロテスタントではお悔やみの言葉はありません。「ご冥福」や「供養」というのは、仏式のものですから、使わないように気を付けましょう。

代わりに、「安らかなお眠りをお祈りいたします」や、「お知らせくださって、ありがとうございます」などと言います。なぜかというと、キリスト教での死に対する考え方は、永遠の命の始まりだと考えられているからです。そのため、亡くなったことは悲しいけれど、不幸ではないという意識があるそうです。

4. 茶話会のマナー
前夜祭の後、お茶を飲みながら故人を偲ぶ「茶話会」が開かれます。一般的には牧師と遺族の方だけで行われますが、もし招かれた場合には、長居をしないように気を付けましょう。故人の思い出などを話し、早めにおいとまするのがマナーです。
 


 

カトリックとプロテスタントの葬儀の違い

キリスト教式の葬儀は、聖書とお祈りを中心に行われます。その中でもプロテスタント式は、個人の信仰を大切に考えます。そのため儀式の手順や形式には、あまり厳しい決まりはなく、故人の希望や遺志を尊重するそうです。

讃美歌の斉唱や聖書の朗読も、故人が生前好きだった曲や、一節から選ぶことが多いそうです。また、偶像崇拝をしないプロテスタントでは、葬儀祭壇の飾りもシンプルです。花や故人を偲ぶ思い出の品を飾ったりします。

プロテスタント式とカトリック式の大きな違いは、プロテスタント式は葬儀と告別式は一緒に行われるという点です。対してカトリック式は葬儀と告別式を別々に行います。これは、一般的に葬儀は宗教的儀式を中心に行われる一方で、告別式は故人とのお別れが目的の、社会的意味合いが強い儀式だからです。

信仰の自由を尊重するプロテスタント式では、宗教的儀式と社会的意味合いの儀式を分けることなく、葬儀と告別式は一緒に行われます。牧師も告別式に参加します。一方カトリック式では、葬儀はカトリックのルールに沿った宗教儀式を中心に行います。告別式は宗教儀式ではないため、葬儀とは別々に行われ、基本的に神父は告別式には参加しません。

プロテスタント式の葬儀の流れ

・入棺
葬儀はオルガンの演奏が始まりの合図です。演奏と共に、牧師、棺、喪主、遺族の順に入場してきますので、参列者は起立してお迎えしましょう。 棺が祭壇に安置されたのを見届けてから、遺族の方々が着席します。参列者が座るのは最後なので気を付けましょう。

・聖書の朗読とお祈り
牧師が聖書の朗読とお祈りをします。参列者は頭を軽く下げ、黙とうして聞きます。お祈りの後に参列者全員で讃美歌を歌います。

牧師による説教
牧師が故人の人柄や生前の功績についてお話をして下さいます。その後に聖書に基づいたお話し、「説教」が続きます。

弔辞・弔電
故人に送られた弔辞や弔電が読み上げられます。弔辞を送る時は、故人の人柄や思い出を中心にした文章にしましょう。

オルガン演奏
オルガン演奏は黙とうして聴きます。

告別の祈り・献花
オルガン演奏の後、牧師による「告別の祈り」が故人にささげられます。そして参列者みんなで賛美歌を歌います。讃美歌の後に故人へ「告別の献花」を行います。順番は前夜式と同じで、牧師、喪主、遺族、親族、参列者の順です。参列者が多い場合には、 献花の代わりに黙とうをささげるだけの場合もあります。

遺族のあいさつ
喪主による、参列者への感謝のあいさつがあります。献花の前に述べられる場合もあります。

 

以上が一般的なプロテスタント式の葬儀の流れです。献花、讃美歌の斉唱と聖書の朗読、そしてお悔やみの言葉のマナーは、前夜式と全く同じです。仏式の習慣で「ご冥福をお祈りいたします」と言ってしまわないように十分気を付けましょう。
 

プロテスタントのご香典袋の選び方、書き方、相場

プロテスタント式の香典袋の書き方は、仏式ともカトリック式ともいろいろ違うので気を付けましょう。
 

香典袋の選び方

白百合か十字架のついた、キリスト教専用の香典袋を選びます。普通の香典袋でも大丈夫ですが、蓮の絵のある香典袋はプロテスタントには使えません。水引は付いていても付いてなくても、どちらでも構いません。付いているものを使う場合は、色は白黒か、または銀一色のものを選びましょう。
 

香典袋の書き方

「お花料」又は「御霊前」と書きます。「御ミサ料」はカトリックの表書きになりますので気を付けてください。

香典の相場

プロテスタント式葬儀の香典金額相場は、仏式と変わりません。下の相場表を参考にしてみてください。

会社関係 金額
上司や同僚、その家族 5,000円
取引先 10,000円
友人・知人関係
友人やその家族 5,000円
隣人 5,000円
家族関係
50,000円
兄弟姉妹 30,000円
祖父母 20,000円
親戚 10,000円

葬儀はいつも突然のことですので、仏式でも「どうするんだっけ?」と慌ててしまうことが多いと思います。香典袋の外袋には、どの宗教、宗派で使えるか、表書きは何を使うかなどが書かれていることが多いので、そちらも参考にしてみると良いですよ。
 

葬儀はどんな服装がいいの?

プロテスタント式の前夜祭や葬儀・告別式に参加する時の服装は、一般的な仏式と同じ喪服で大丈夫です。それ以外でも黒系やダークカラーは大丈夫ですが、黒でも装飾は避ける、靴はエナメルやサンダルは避けるなどと、気を付けたい細かい決まりがいくつかあります。こちらの記事により詳しく紹介していますのでので、ぜひ参考にしてください。
 

 

特に気を付けたいのは、プロテスタント式葬儀では、当然ですが数珠を持って行く必要がないということです。信者でない場合にはロザリオも持っていかないので、手元が心もとない感じがするかもしれません。そんな場合は、体の前で右手で左手を包むように合わせているといいですよ。
 


 

まとめ

いかがでしたか?同じキリスト教でも、カトリックとプロテスタントとでは仏式のお通夜にあたる前夜式や葬儀の流れも違うので、事前に知っておくことで作法やマナーに戸惑うことなく、ゆっくり故人とお別れをすることができますね。プロテスタント式の葬儀では、前夜祭、葬儀・告別式ともに讃美歌と聖書の朗読が中心です。

あなた自身がキリスト教信者ではなくても、葬儀のマナーとして、賛美歌の斉唱にはできる範囲で参加しましょう。特に前夜式や葬儀の流れの中で、仏式のお焼香にあたる献花は独特のマナーがあって緊張するものです。「プロテスタント式の葬儀の流れ」の中の動画でシュミレーションしておくと安心ですよ。

同じキリスト教でも、故人の遺志を尊重するというプロテスタント式のお葬式は、心温まる親密な雰囲気の中で、故人とお別れできるようになっているように感じました。信者ではなくても大まかな葬儀などの流れを頭に入れておけば、参列の際に心を込めて故人をお見送りできることでしょう。

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