冠婚葬祭

神道のお墓の場所はどこ?形は?お墓参りの作法は?

こんにちは。ライターのReilaiです。

世界にはたくさんの宗教がありますよね。

日本にも、仏教をはじめとして信仰されている宗教には多くの種類がありますが、欧米などと違って、固有の宗教を信仰しているというよりも生活の中に宗教が溶け込んでいる場合が多いです。

例えばお宮参りや七五三、初詣などのなじみ深い行事は、「神道」に由来します。

私もお正月になれば、近くの神社に毎年初詣へ行きますし、夏祭りや秋祭りの季節にも神社を訪れています。

でも、神道を意識して参加したことはありません。逆に、神道を信仰している人も、私の周りでは思い当たりません。

私の場合、宗教を意識するのはお葬式やお墓参りくらいです。

そういえば、お寺にはお墓があるのが普通ですが、神社でお墓を見たことがありません。

いったいどこにあるのでしょうか?お墓の形などにもきっと違いがあるはずですよね。

ふと疑問に思ったので調べてみましたが、神道は仏教とは似て非なるもののようです。

もしもあなたのまわりに神道を信仰している故人がいた場合、以下のことを押さえておくことで心から供養することができるはずです。

宗教やお墓に関することはなかなか人に聞きづらいことだと思います。

この機会に、ぜひ神道についての知識を身につけてください。
 


 

神道のお墓はどこにあるの?

基本的に、お墓と言えばお寺にあるというイメージが強いですよね。私の家は仏式なので、親交のあるお寺で供養してもらっています。ですからお墓はお寺にあるというイメージしかあまり浮かばないのですが、神式では建てる場所が異なるようです。

神道では祭祀を神社で行いますが、神社の境内にはお墓を建てることはまずありません。実際に神社へ行っても見かけたことはありませんよね。ではどこにあるのでしょうか?

神道のお墓は霊園に建てることが一般的のようです。霊園の中でも宗派や宗旨を問わない霊園であれば、神道でもほかの宗教でもお墓を建てる事が出来ます。特に公営霊園や民営霊園であればほとんどの場所でお墓を建てる事が出来ますので、神道のお墓も必然と多くなります。

では何故神道のお墓は神社の境内ではないのでしょうか?その理由は神道の精神にありました。仏教やほかの宗教とは異なり神道では死を「穢れ」として扱うようです。ですから死後、つまり穢れを神社の境内には入れないという考えになり、境内にはお墓は無いのです。
 


 

神道のお墓はどんな形?仏式との違いは?

神道のお墓と仏教のお墓とでは見た目で分かる違いがあります。その違いは3つに大きく分けられます。

違いその1 形

1つ目の違いは形にあります。神道のお墓は墓石の頭頂部の形が特殊な形をしています。形の名前は「角兜巾(かくときん)型」と言い、墓石の頭頂部が四角錐になっているものです。頭頂部が平らになるように切ってある一般的なものに対して形が異なるので違いがすぐに分かるかと思います。

この「角兜巾型」という形には理由があるようです。角兜巾という形をよく見ると、どこか剣のように見えるかと思います。実はこの形は日本神話で有名な草薙の剣、つまりは天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)の形を模していると言われています。

神道のお墓はお墓自体が神器となっているのですね。また、神職の方がかぶっている烏帽子を表しているとも言われています。

違いその2 文字

2つ目の違いは墓石に彫られている文字です。仏教のお墓には「〇〇家之墓」などと彫られているのが一般的です。それに対して神道のお墓には「○○家奥津城」と彫られています。読み方は「○○家おくつき」又は「おくつぎ」になります。

城という文字がありますが、そのままの意味ではなく場所や聖域という意味を持っています。津という文字は「~の」という意味をもつので、すべて合わせると「奥まった場所にある聖域」という意味を持ちます。さらに、神道には戒名というものがありません。

そのかわりに本名の後に「命」という文字を付けます。男性の場合は「大人命」(うしのみこと)や「彦命」(ひこのみこと)と付け、女性の場合は「刀自命」(とじのみこと)や「姫命」(ひめのみこと)と付けられるのが一般的です。

違いその3 付属品

3つ目の違いはお墓に付属している物です。神道のお墓には、八足台(はっそくだい)と言われるお供え物を置く台があります。そして仏教のお墓とは異なり、神道ではお線香をあげる香炉がありません。このように神道のお墓と仏教のお墓では見た目で分かる違いがあるので見分けがつきやすいのが特徴です。

こちらの動画では神道のお墓について分かりやすく説明されていますので是非ご参考になさってください。
 

【第66】 神道のお墓について / 相模国二之宮 川勾神社 宮司さんのお話
 

 

お墓に花や線香は供えるの?お墓参りの仕方を説明

神道と仏教とではお墓の形式が違うことが分かりましたね。お墓が異なればお参りの手順も異なりますので、今度は神道のお墓参りの方法をご説明していきます。

お供え物

まず、お供えする花についてです。仏教では仏花といい、3色から5色の鮮やかな花を選び供えるのが一般的です。一方、神道では花ではなく「榊」をお供えするのが一般的です。「榊」とはツバキ科の植物で、葉っぱの表面はツルツルで濃い緑色をしており、葉の縁は丸くなめらかになっています。

また故人が好んでいた花や、白い菊の花をお供えすることもあるそうです。ただし、一般的には「榊」のみをお供えしますので、花を供える際は遺族に差し支えないか確認を取ってからの方がいいでしょう。

次にお線香です。仏教ではお墓参りの際きれいに清掃した後ろうそくに火を灯しお線香をあげますが、神道でお線香をあげることはありません。そのかわりに「玉串」(たまぐし)というものをお供えします。この「玉串」とは、榊の枝に紙垂(しで)と呼ばれる神事で神前に捧げるものをくくり付けたもののことを言います。

お墓に「玉串」をお供えすることで神様への奉納とし、参拝者が故人に真心を示すとされているのです。また、神道では「神饌」(しんせん)と呼ばれるお供え物があります。「神饌」とは水や洗米、塩やお神酒などのことを言います。

これらを墓前へお供えするのが神道の一般的なものになります。仏教では故人が好きだった果物やお菓子などをお供えするのが一般的ですが、神道でも神饌と一緒に故人の好きなものをお供えしても問題は無いようです。

お参り方法

次はいよいよお墓参りの作法についてです。お墓を清め、お供え物を供えた後は供養をします。神道では墓前にて「二礼、二拍手、一礼」を行うのが基本になります。この作法はよく初詣でみられるものと同じ作法になります。そして、この作法の前後に「一揖」(いちゆう)という軽くお辞儀をする所作が入ります。

ではこの「二礼、二拍手、一礼」について細かく見てみましょう。

・まずは墓前にて一揖する。
お辞儀の角度は約30度です。この「揖」とは両手を胸の前で組み、目の高さ以上に上げる礼のことを言います。元々は中国の礼のことで、丁寧でへりくだった礼を揖と呼ぶそうです。しかし一揖となると軽いお辞儀という意味合いになるそうです。

・二礼
墓前(神前)にて深く2回お辞儀をします。この時の角度は90度です。背中は丸めないように気を付けるとよいでしょう。

・二拍手
2度柏手を打ちます。この際両手は伸ばし、右手を少し後方へ下げ少しずらします。柏手を打つ際は肩幅程に手を広げ、2度打ち鳴らしたら、両手を揃えて供養の気持ちや祈念を込め手を下ろします。

・二礼
最初と同様に深くお辞儀をします。

・一揖
最後に忘れず浅くお辞儀をします。

 
お墓参りや初詣などで参拝する際に柏手を打ちますが、その理由には諸説あるようです。一般的によく言われているのは「神様を呼ぶため」でしょう。その他には、「武器などを持っていないことを示すために掌を打ち鳴らす」、「柏手を打ったその音が周りの空気を震わすことで、空気の中にいる聖霊やその他の神様を呼び寄せる」というものもあります。

ちなみに、「柏手」という字は本来「拍手」と書きます。この「柏」という字を使った理由にもいくつかあります。「拍」という字を「かしわ」と読み間違った、又は書き間違ったというものや、手を打った時の形が柏の葉に似ているから、などです。

神道の起源は、弥生時代頃までさかのぼると言われています。仏教やキリスト教のように教典があるわけではないので、いろんな作法にも色々な解釈が生まれるのでしょうね。
 


 

まとめ

神道では「死は穢れ」と考えられているため、お墓は神社の境内には建てることができません。一般的には霊園に建てられます。更にお墓の形についても「角兜巾型」という特殊な形をしていることがわかりました。他にも仏教とは異なりお線香はあげませんし、お参りの作法についても「一揖」という所作が入ることも知ることが出来ました。

今まで気にしていなかった神道のお墓についてですが、調べてみるとお墓の場所や形・彫られる文字・お供え物・お参りの作法など、仏教やほかの宗教と違う点が多くあるのが分かりました。今回、神道のお墓について調べることで、日本独特の神道の考え方や作法の由来も知ることができました。

次に神社を訪れる時は、八百万の神様への感謝の気持ちも持ってみようと思います。

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