冠婚葬祭

神道の初盆のお供え献花は何がいい?のしの表書きは?提灯はいるの?祭壇の飾り方

こんにちは。ライターのReilaiです。

夏になると、お盆の行事の為に帰省する方が多いですよね。

私もお盆の時期には帰省して、毎年お墓参りに行くようにしています。

お盆といえば日本各地で行われている行事ですが、一般的にはお墓参りをしたりお坊さんにお経を唱えたりしてもらうもの、というイメージが強いと思います。

ところでほかの宗教には、仏教の「お盆」のような風習はあるのでしょうか。

私は先日神道という宗教について知る機会があり、日本古来からある神道にもお盆のような風習があるのか気になり調べてみることにしました。

すると、神道にも仏教のお盆と同じような風習があることが分かりました。

そういえば、神道の初盆に招かれたけれど神式は初めてだったのでどうしたらいいか分からずバタバタしながら調べて大変だった、と友人から聞いたことを思い出しました。

友人家族は神道ではなかったので何をお供え物として持っていけばいいのか、持っていくとしたらのしの表書きに何と書いたらいいのか、見当もつかなかったそうです。

お招きを受けてから調べだしたので結局詳しくは分からず、故人の方や招いてくれた親族の方々に対して悪いことをしてしまった、とも話していました。

もし友人の家族のようなことが私自身に起こった場合、きっと同じようなことになることは必然でしょう。

様々ある宗教の中でも神道の信仰者は12000万人と言われていますが、実際に葬儀やお盆などは仏式で行われることが多く、神式の行事について詳しく知る機会はなかなかありません。

もし、今後神道の初盆に招かれた時にはどうしたらいいのでしょうか。

あらかじめ神道の初盆について理解して、招かれた時には慌てないようにしておけば安心ですよね。

ここでは神道の初盆に招かれた際のお供えの献花についてと、のしの表書きや祭壇の飾り方などについてご紹介していきます。

故人をしっかり供養させていただくためにも、きちんと理解しておきましょう。
 


 

神道に初盆(お盆)がない?

実は神道の考え方として、亡くなった方はその家の守り神となり親族や祖先の神と共に見守る存在となるため「お盆」という概念はありません。一般的なお盆という行事は、仏教行事の「盂蘭盆会(うらぼんえ)」のことを表しています。

「盂蘭盆会」とは、先祖の御霊(みたま)を祀り冥福を祈ることで先祖たちを地獄の苦しみから救うことができるというものです。その功徳は先祖だけでなく巡り巡って私たちにも幸福を与えてくれるものであるともいわれています。

このように仏教のお盆は、苦しんでいる先祖に対して祈り祀ることでその苦しみから解放させてあげようとする行事となっています。では神道には仏教の「お盆」に似たような行事は無いのでしょうか。

神道のお盆「初盆祭」「荒御霊祭」

神道では初盆(お盆)という名の行事はありません。その代わりに「初盆祭」や「新御霊祭(あらみたままつり)」という神事があります。神様を信仰する神道では神事はすべて「祭り」となるため、「祭」の文字が使われます。では神道のお盆「初盆祭」や「新御霊祭」はどのような意味合いがあるのでしょうか。

神道での「初盆祭」や「新御霊祭」は先祖崇拝が主なものになります。そのほかにもその年家族に不幸がなかった事をお祝いする事や両親の健康と長寿を祝うための「めでたい盆」という意味合いもあるそうです。お墓参りをする際、「今年も元気で過ごせました、ありがとうございます。」というような感謝の気持ちを伝えることはありませんか。

この先祖に感謝する気持ちが、神道でいうところの「先祖崇拝」と同じ考え方だったようです。これらを踏まえると神道のお盆というものは「初盆祭」「新御霊祭」と名こそ違いますが、仏教式のお盆で行われる「先祖供養」と合わさったものだということが分かりますね。
 


 

お供えや献花は何がいい?神道の場合の「のし」の書き方は?

神道のお供え「神饌」

お盆にはお供え物を供えます。神道ではこのお供え物のことを「神饌(しんせん)」と呼びます。「初盆祭」や「新御霊祭」では一体何をお供えしたらよいのでしょうか。

〇神饌(神道でのお供え物)
お酒
鮮魚(海の幸など)
野菜



 
上記のものがふさわしいとされています。そのほかにも日持ちのする乾物やお菓子をお供えすることが多いですから、初盆祭などに招かれた際はこのようなものを購入しお供えするとよいでしょう。仏教でのお供え物はほとんどが精進料理ですので肉や魚などはお供えしませんが、神道では新鮮な魚などもお供えします。

これも神道と仏教との違いですね。地域によりますが、精霊棚(しょうりょうだな)というものを設ける場合があります。その際は「瓜・茄子・西瓜・鬼灯・梨・葡萄」などをお供えします。これらのお供え物を供える際には並べる順序や決まりがありますのでご紹介します。

神饌の供え方

祭壇は神様がいる場所ですからお供え物は祭壇に供えます。神様から見て序列が高いのは祭壇の高い中央や左側になります。そのためお供え物は序列の高いものから並べていかなければなりません。

〇序列の高いお供え物
・米
・酒
・餅
・鮮魚(海の幸など)
・乾物
・野菜
・果物
・塩
・水

 
お酒をお供えする際は「瓶子(へいし)」と呼ばれる白い瓶に入れてお供えします。更に米や塩は小皿に盛りお供えし、魚をお供えする際は必ず頭が中央を向くようにお供えします。上から順に序列の高い順になりますからお供えする際はこの順番も覚えておくとよいでしょう。

下記の動画は神饌をお供えする際に気を付ける事や供える位置など分かりやすく説明していますので一度確認しておくとよいでしょう。
 

【神饌(お供え物)について ―地鎮祭 上棟祭 新宅祭 神棚祭など―】
 

 

神道の献花はどんなもの?

仏教では、お供え物には花も供えますが、神道では「榊(さかき)」を供えます。神様のいる場所に榊を立てたという日本神話がもとになっているようで、神道では榊をお供えします。

お供え物ののし紙の表書きは?

これらのお供え物を持参する際はのし紙を付けます。表書きは「御供」と書くのが一般的です。そのほかに「奉献」や「奉納」と書くこともあります。そして水引は結び切りにし、使用する色は双銀や黒白が一般的です。藍銀や黄銀、黄白を用いてもよいでしょう。

東日本では黒白5本の結び切りを使用し、西日本では黄白5本の結び切りを使用することが多いようです。普段仏教のお盆を行っていると、鮮魚を供えたりするというのは少しびっくりしてしまいますね。また、水引が西日本と東日本とでは異なるというのも覚えておけば初盆に招かれても慌てず対処できるでしょう。
 

提灯は必要?祭壇の飾り方

お盆には、先祖や亡くなった方の霊が迷わずに戻ってこられる目印として提灯を飾ります。これは仏教でも神道でも変わりありません。

神式の盆提灯

古来より日本では、親戚から初盆を迎えた家に盆提灯を送る風習があります。提灯には迎え火や送り火の役割もありますが、それとは別に故人の冥福を祈り感謝を込め供養するという意味合いも持っています。初盆で使用する盆提灯は「白盆提灯」を使います。

これは初めて現世に帰ってくる先祖の魂が迷わないための目印の役目があり、お盆が終わると白盆提灯は燃やします。神道で使用する盆提灯は白木に無地のもので、墨絵や家紋が入った清廉なものを使用します。

盆提灯には蓮があしらわれたものもありますが、蓮は仏をイメージさせるものですので神道では使用しませんから覚えておきましょう。盆提灯は迎え火と似たものだと思っていましたが、冥福を祈り供養するという意味合いもあったのですね。

神式の祭壇「精霊棚」

仏教のお盆では盆棚を作りますが、神道も「精霊棚」と呼ばれる祭壇を作ります。「精霊棚」とは初盆祭の時だけ設置される棚のことで、地鎮祭で神饌(しんせん)を置く場所と同じものになります。多くの方は地鎮祭のものがイメージしやすいでしょう。

祭壇を作る場所は主に床の間です。しかし最近の家には床の間がないところもありますよね。そんなときは神事を執り行うことができ、参列者が入れる広さの場所に祭壇を作ります。祭壇を作る際はなるべく北向きにならないようにします。

〇祭壇の飾り方
・先祖の魂を祀っているお社の「祖霊舎」(それいしゃ)を中央の上段に安置する。
「祖霊舎」とは仏教でいう仏壇にあたるもので、常に家に設置されているものを指します。
祖霊舎の中には「霊璽」(れいじ)が納められており、これは仏教の位牌にあたります。

・祖霊舎の少し手前の左右に榊を立てる。

・左右には燭台を飾る。

・神饌をお供えする。(並べ方については当記事の「神饌の供え方」をご覧ください。)

 
一般家庭では、初盆際の前に床の間や祖霊舎の前に精霊棚を設置したのち神饌をお供えします。ただし、飾り方などは地域や住宅事情により簡素化されたり、精霊棚を設置しない家庭もあります。

また13日には迎え団子、15日には送り団子というものをお供えしたりします。13日に供える団子はあんこの付いたお団子で、15日は何もついていない白い団子をお供えします。
 


 

まとめ

神道には「お盆」というものはありませんが、その代わりにお盆(初盆)が「初盆祭」や「新御霊祭」と呼ばれる神事があることがわかりました。神道では「めでたい盆」とも言われており、お盆は「祝い事」という仏教とは少し違った方向性を持っています。

お供え物については、仏教では肉や魚などはお供えしないのに対して、神道では神饌として鮮魚や海の幸をお供えするというのも驚きでした。そして祭壇を作る際には置く場所の決まりもあり、間違えないよう覚えておけばいざというときに役に立ちそうです。

更に神道では蓮の付いた白盆提灯は使いません。神道と仏教を区別するためにも「蓮が仏をイメージする」ということも覚えておくと良さそうです。私の周りに神道を信仰している人は今のところ思い当たりませんが、もし神道の初盆に招かれても慌てることなく対応し、故人に対して感謝やご冥福を心から祈ることが出来そうです。

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