「環境に優しい掃除」に使われるものとして有名な重曹。
最近テレビや雑誌などでも良く耳にしますよね!重層ひとつあればいろいろなお掃除に役立ちます。
とはいっても重曹は種類も多く、使い方も様々です。
そこでこの記事では、お掃除にとっても便利な重曹スプレーの作り方や使い方を紹介します。
他にも重曹が得意とする汚れと苦手とする汚れについて紹介していますので参考にしてください。
重曹スプレーとは?
重曹スプレーとは、重曹を水に溶かし、スプレー容器に詰めたものです。
(1)重曹スプレーの作り方
①スプレーボトルに重曹を小さじ1杯(5mg)入れます。このとき、ロートを使うとこぼさずにいれることができます。
②水100mlを加えます。なお、重曹は水に溶けにくい性質があります。そのため、40~45℃ぐらいのぬるめのお湯に溶かすのがおすすめです。
③キャップをつけ、ボトルをよく振って重曹を溶かして完成です。なお重曹スプレーはまとめて作るのではなく、少量を作り、1回の掃除で使い切るのがポイントです。
(2)使い方
汚れの気になる部分に吹きかけ、タオルなどでこすります。
汚れが頑固な場合は、汚れの上にキッチンペーパーをかぶせ、その上から重曹水を吹きかけて30分~1時間程度置いてから拭くと、汚れが落ちやすくなります。
(3)そもそも重曹って何?
重曹の化学名は炭酸水素ナトリウム。
水溶液はpH8.2の弱アルカリ性の人体に無害な物質で、古くからふくらし粉や胃薬の成分として取り入れられています。
弱アルカリ性のため、酸性をある程度中和することができ、油脂やたんぱく質を分解する作用も持っています。
そのため酸性物質のにおいも中和、消臭することができます。無害でお掃除に便利、言うことなしですね!!
重曹はどの種類を使えばいいの?
重曹は純度に応じて3種類に分けられます。
(1)医療用
最も純度が高く、きめの細かい重曹です。胃酸の中和に使われるほか、バリウムの発泡剤としても使用されます。
(2)食用
ベーキングソーダやタンサンとして販売されており、膨張作用があるためホットケーキなどのふくらし粉として利用されます。
また、山菜などのあく抜きにも使用されます。研磨作用もあり、歯磨き粉としても使用することもできます。
(3)工業用
最も安価で、きめが粗い重曹です。
きめが粗く、ダマになりやすいため服用には向きませんが、汚れを落としやすい効果があります。
また、きめが粗いため多くの酸性物質と結びつきやすく、消臭効果も期待できます。このことより、重曹スプレーに使用する重曹は、最も安価な工業用がおすすめといえます。
また、100円ショップなどで購入できる「お掃除用」と書かれた重曹は工業用に分類されます。
ただし、どうしても工業用重曹がない場合は食用でも代用できます。
お風呂掃除に重曹は使える?
重曹はpHが低いため、セスキ炭酸ソーダや炭酸ソーダに比べ、洗浄力は弱いです。
しかしpHが低い分、人体に及ぼす影響もほとんどないため、直接肌の触れるお風呂場でも安心して使うことができます。
(1)湯アカのついた道具・浴槽
浴槽内の残り湯に重曹を入れて一晩つけておきます。
すると汚れがアルカリの力で緩み、楽に落とせるようになります。また、湯アカのついた道具と浴槽、両方を一気に洗うことができます。
(2)排水口
排水口は気がつかない間にヘドロやごみがこびりつき、悪臭を放つようになります。
排水口全体にまんべんなく重曹をふりかけ、5~10分ほど放置した後、古いスポンジなどで軽く洗います。
なお、重曹には消臭効果もあるため、悪臭を抑える効果も期待できます。
(3)パイプ
普段なかなか掃除できないパイプ。
こちらにもヘドロやごみがこびりつき、悪臭を放つ原因となります。そこで1カップ(180mg)くらいの重曹を排水口に入れ、熱いお湯を流します。
すると重曹水がパイプの中を流れ、汚れと臭いを落としてくれます。なお、重曹は水だと溶けづらいため、必ずお湯を流すようにしましょう。
(4)床
床の黒ずみは飛び散った石鹸カスや、身体を洗った時のアカなどが溜まったものです。
重曹には皮脂汚れ・湯アカを落とす効果があるため、湿らせたアクリルタワシや歯ブラシなどに重曹を振りかけて汚れを落とします。
なお重曹で掃除しても汚れが落ちない場合は、水アカが原因の場合です。
この場合はクエン酸で掃除すると効果的です。
重曹で掃除していけないのはどこ?
弱アルカリ性の重曹が苦手とする汚れの箇所は次の通りです。
(1)キッチンの強い油汚れ
重曹のpHは8.4。これは炭酸ソーダのpH11.2、セスキ炭酸ソーダのpH9.8よりもかなりアルカリ性は弱いです。
そのためあまりにもギトギトな油汚れに対しては落とす力が弱く、十分な効果を発揮することができません。
ただし、重曹で掃除する場合でも、温かいお湯で作った「ホット重曹スプレー」でならきれいにすることができます。
こちらの動画では頑固なレンジの油汚れに対する掃除方法を紹介しています。
【激落ち!頑固な油汚れにホット重曹スプレーでレンジ掃除生活の知恵裏ワザ|How to clean a micro oven with baking soda】
(2)白くカチカチになった水アカ汚れ
水道水には地域にもよりますが、pHを調節するために消石灰(水酸化カルシウム)などのアルカリ性の薬品が含まれていることがあります。
白くてカチカチになった水アカは、水道水に含まれているカルシウム分が固まったものです。重曹は弱アルカリ性のため、同じ弱アルカリ性の水道水が固まった水垢を落とすことはできません。
そのため、白くてカチカチになった水アカを落とす場合は、弱酸性であるクエン酸などを使用するときれいに落とすことができます。
(3)トイレ
トイレのにおいの主な原因はアンモニア臭です。
このアンモニアは尿に含まれる成分で、弱アルカリ性を示します。そのため、同じ弱アルカリ性である重曹では中和することができず、消臭できません。
(4)ガラス・アクリル
重曹には研磨作用があります。特に工業用を使用している場合はきめが粗い分、研磨作用が強いです。
そのためガラスやアクリルなど、傷つきやすい場所の掃除には向きません。同じアルカリ性で、研磨作用の少ないセスキ炭酸ソーダなどを利用しましょう。
(5)木・畳・カーペット
無垢の木のフローリング・畳・草を編んだラグ・動物の毛からできたカーペットなど…天然素材を使ったものにはたんぱく質が含まれています。
重曹はたんぱく質を落とすのに優れています。そのため、逆にたんぱく質が多く含まれたところに使用するとたんぱく質を落としてしまい、変色や変質の原因となってしまいます。
(6)アルミ
アルミはアルカリ性と反応すると黒く変色します。
重曹も弱アルカリ性のため、アルミに使用すると黒く変色してしまいます。
(7)洗濯
洗濯などで使われる洗剤のpHは9~11。
一方重曹のpHは8なので、洗濯の時に洗剤の代わりに重曹を使用しても、十分に汚れを落とすことはできません。
また、洗剤と重曹を混ぜて使うと全体のアルカリ性が弱まってしまいます。
ただし、例えばウールのセーターなど、動物の毛から作られた衣類の場合、強いアルカリ性の洗剤で洗うとたんぱく質を傷つけてしまう恐れがあります。
そのため動物の毛からできた衣類を洗うときは、重曹であえてアルカリ性を弱め、衣類にダメージを与えない範囲で洗濯します。
重曹による白残りを防ぐには?
重曹スプレーを使って掃除してしばらくした後、掃除した部分が白くなってしまうことがあります。なぜ白くなってしまうのでしょうか。
(1)白残りの原因
重曹は水に溶けにくい物質です。
特に重曹スプレーに使用する重曹は最もきめの粗い工業用のため、重曹の中でも特に水に溶けづらいです。そのため、濡れた時は透明ですが、乾いて水分が蒸発すると本来の重曹の色である白が残ってしまいます。
(2)白残りが出てきたら
重曹による白残りを取るには、弱酸性であるクエン酸を使用します。すると中和反応が起こり、白残りを取ることができます。
(3)白残りを防ぐには
重曹による白残りを防ぐためには、以下の2通りの方法があります。
重曹で掃除した後、しっかりと重曹を落とすためにもう一度拭きます。また、お風呂や玄関を掃除するためにスリッパなどを履いた場合は、履いたものの後ろもしっかり拭いておきます。②クエン酸スプレーを吹きかける
重曹は弱アルカリ性のため、弱酸性であるクエン酸を吹きかけると中和され、重曹の成分がなくなります。
いかがだったでしょうか。重曹は油汚れなどに強いだけでなく、体や環境にも優しいエコな洗剤です。みなさんも重曹スプレーをつかって気になる部分を掃除してみましょう。