こんにちは。ライターのReilaiです。
先日、知人との会話の中で、神道の葬儀に参列した話題が上がり、詳しく聞くと一般的な仏式のものとはだいぶ違っていました。
私もこれまで何度か葬儀に参列する機会はあったものの、経験が少ないため仏式ですら作法や正しいマナーが身についていない部分が多くあり、毎回直前に作法やマナーを調べて確認していました。
身近な人の訃報は誰でも動揺してしまうものです。
しかもその葬儀が馴染みの少ない宗教で行われるとしたら…亡くなられた方との最後のお別れはゆっくりと過ごしたいものの、参列する際のマナーや作法はどのようなものなのかも気になってしまいます。
私もこれから参列する葬儀がすべて仏教式だけとは限りません。
日本にはさまざまな宗教がありますから、宗教が違えば作法も異なります。
ただ、分からない事や作法について今更人に聞くということもなかなか出来ず、困ってしまうことも多いですよね。
そこで今後突然の訃報にも困らないように、仏教以外で日本に古くからある神道の葬儀について調べてみることにしました。
葬儀に参列する際の服装・持ち物・親族へのあいさつや香典袋の選び方・書き方など、神道の葬儀に必要な知識をお伝えします。
目次
神道の葬儀に着て行く服装は?
神道の葬儀は仏式の葬儀に比べ執り行われる数が少ないので、わからないことが多いと思います。まず、神道の葬儀は「神葬」や「神葬祭」「神道葬祭」と呼ばれます。葬儀なのに祭?と思う方もいるかと思いますが、神道では先祖を祀る行事を「祭」と称します。
葬儀も「亡くなった方にご先祖様と同じように家を守る守護神になってもらう」ために「祭」の文字が使われるのです。ではその神道の葬儀に参列することになった際、服装について気を付けなければならない事を確認していきましょう。
服装に関しては特に仏教式と大きく異なるところはほとんどありません。神道の葬儀でも喪服を着用し、女性の場合はストッキングやバックなどの小物、男性の場合は靴下や小物などの色は黒色を使用します。アクセサリーなどは極力避けましょう。
結婚指輪や婚約指輪は大丈夫ですが、それ以外は葬儀には相応しくはありませんので外しておきましょう。
数珠は持っていくの?お焼香はあるの?
数珠は必要?
多くの方が葬儀に参列する際に用意する物の中に「数珠」がありますが、神道で数珠は必要ありません。その理由は、数珠本来の目的を知ることで分かります。もともと数珠というものは「法具」です。
「法具」というのは仏様と我々人を結ぶための媒介のようなものですから、仏様を信仰していない神道では「法具」つまり数珠は必要がないのです。
お焼香はあるの?
そのほかにも、神道の葬儀では仏教式の「お焼香」の代わりに「玉串奉奠(たまぐしほうてん)」が行われます。神道とはその名の通り神様を信仰する宗教で、神様というのは目に見えない存在です。この「玉串奉奠」という儀式により、目に見えない神様と我々人や心の結びつきを目に見える形であらわしているのだと言われています。
ではこの玉串奉奠という儀式はどのようなものなのでしょうか。まず、玉串とは榊(さかき)の小枝に紙垂(しで)と呼ばれる紙を結び付けたもののことを言います。そして、奉奠とは「捧げる」という意味合いを持ちます。
玉串に故人の霊を慰める気持ちを込め祭壇へ奉奠するのが玉串奉奠というわけです。ではその手順について確認してみましょう。
【玉串奉奠の流れ】
・神職より玉串を受け取る
(右手は上から根元を持ち、左手では先を下から支えるように持つ)
↓
・祭壇の前に立ち一礼し、白木で作られた玉串案(玉串の乗せる台)の前に移動する
↓
・左に葉先が来るようにして玉串を持ち替える
↓
・そのまま縦(この時の葉先は奥)に向きを変え、そこから時計回りに回す
↓
・手前に葉先が来るまで回し、玉串案に捧げる
↓
・二礼、偲び手(音を鳴らさない拍手)で二拍手、一礼
↓
・喪主様やご遺族に一礼して、席に戻る
この玉串奉奠の作法について説明している動画がありましたので一度見て確認してみましょう。
【葬儀作法 神道】
玉串奉奠の所作については1分40秒あたりから見ると分かりやすく説明されています。文字だけでは分かりづらいところも確認できますよ。
親族の方に何て挨拶すればいいの?
神道の葬儀では、親族の方へのあいさつの際にも気を付けなければならないことがあります。まず知っておきたいのは、仏教と神道では死についての解釈が異なるということです。
神道では、人は神様となったご先祖様から生を受け、亡くなると家の守り神となり子孫を守るという考えがあります。
それに対し、仏教では宗派で多少の違いがありますが、人間は生まれ変わる(輪廻転生)があると考えられています。
神道、仏教の死生観については、こちらも合わせて参考にしてください。
そのため、一般的に使われている挨拶の中でも神道では使えないものがあります。
「冥福」
仏教用語に由来するため、神道ではタブーとなっています。
ついつい「ご冥福をお祈りいたします」と言ってしまいそうになりますが、使わないようにしましょう。
「成仏」「供養」
こちらも仏教用語に由来するのでNGです。
神道では、上で紹介したように亡くなった方は神様になるため「成仏」もしませんし、「供養」の必要もありません。
では一体どのような挨拶が好ましいのでしょうか。
挨拶例文
〈親しい間柄の場合〉
・「お悔やみ申し上げます」
・「たいへんでしたね」
・「拝礼させていただきます」
・「お知らせいただきありがとうございます」
〈お世話になっている方または上司などの目上の方の場合〉
・「御霊(みたま)のご平安をお祈りいたします」
〈もう少し固い感じの場合〉
・「ご帰幽の報に接し心からお悔やみ申し上げますとともに、御霊(みたま)の安らかに鎮まり給うことをお祈り申し上げます」
挨拶をするときはタブーに気をつけ、故人や親族の方に失礼のないようにしましょう。
香典袋の選び方と書き方
宗教や宗派などにより種類が異なったり、表書きが変わったりする香典袋ですが、神道ではどのようなものを選び、表書きはどう書けばいいのでしょうか。まずは香典袋(不祝儀袋)の選び方について確認しておきましょう。
神道の香典袋の選び方
〈包み〉
白無地のものを選びます。
蓮の花がついているものは仏式用のため、神式では失礼にあたります。
〈水引〉
白黒の結びきりや双白のもの、双銀のものを選びましょう。
香典袋の種類が分かったら次は表書きです。これも宗教によって書き方が異なりますのでしっかり確認しておきましょう。
神道の表書き
・御榊料
・御玉串料
・御神饌料(しんせんりょう)
神道に限らず表書きをどのように書いたらいいのか分からない場合は「御霊前」と書いておきましょう。これはどの宗教、宗派でも使用することができますので、覚えておくと便利です。そして記入する際は薄墨で書きましょう。
記入する位置について
香典袋の水引より上に表書きの「御玉串料」と記入します。そして水引より下に自分の名前をフルネームで書いておきましょう。
〈連名の場合〉
表に書くのは3名までにしておきます。それ以上の場合は「○○一同」と記入しておくとよいでしょう。中包みに各々の住所や氏名を記入するか、別紙に記入して入れておけば香典返しのつきあわせもスムーズになりますので、相手様のためにも用意しておきましょう。
まとめ
今回神道の葬儀について調べてみると、参列する際の服装は仏式と同じで構いませんが、その他のマナーや作法については異なるところが多いことが分かりました。神道では数珠は必要なく、お焼香の代わりに玉串奉奠(たまぐしほうてん)という儀式があります。
玉串の受け取り方から捧げ方までしっかり所作がありますので、間違えないよう覚えておきたいものです。挨拶については知らないとつい使ってしまいそうなタブーな言葉がありますので、分からなくなってしまったら「お悔やみ申し上げます。」と伝えるようにしましょう。
香典袋(不祝儀袋)については、包みの選び方・表書きの書き方などが仏式とは異なりますので、選ぶ際はしっかり確認しておきましょう。仏教も神道も日本に古くからある宗教ですが、葬儀の作法には思った以上に違いがありました。
必要なものやマナーなどを覚えておけば、突然神道の葬儀に参列することになっても慌てず余裕をもって準備できそうです。