ライターのMichelleです。
親戚などとの付き合いの中でも、失敗が許されず緊張するのが冠婚葬祭です。
おめでたい席での失敗は後々笑い話になることはあっても、葬儀や法事の席での失敗は後々も語り継がれることになるかもしれませんよね。
そのような不名誉なことは避けたいのですが、今、我が家にはピンチが訪れています。
というのも、遠い親戚の法事に親の代わりに出てくれないかと依頼があったからです。
しかも、その親戚の法事は「神式」で行われるそうです。
ん?神式?うちの実家は確か、仏式だったよな…と思い確認したところ、やはり実家は仏式ですが親戚は神式なのだとか。
さて、困りました。仏式の法事は参列したことがありますが、神式は初めてです。
神式の法事って、仏式と何がどう違うのでしょうか。お供えの熨斗や表書き、そもそもお供え物は仏式と違うのでしょうか?
分からないことばかりなので、この機会にしっかりと調べてみました。神道の法事に必要なお供えについて紹介します。
目次
お供えの熨斗(のし)どんなものを選べばいいの?表書きの書き方は?
法事に欠かせないものと言えば、お供えではないでしょうか。そして、お供えには「熨斗(のし)」をつける必要があります。
調べてみると、お供えの熨斗については東日本と西日本で異なることがわかりました。
掛け紙(のし紙)について
私たちが普段「熨斗」と表現しているものは正式には「のし紙」と言います。そして、のし紙には「水引」や「表書き」「のし」が印刷されています。この場合の「のし」はお祝いごと(慶事)ののし紙に印刷されていることが多く(場合によっては慶事でも「のし」のないのし紙を使います)、弔事には「のし」がついていないのし紙を掛け紙として使用します。
水引ですが、東日本では「黒白5本結び切り」のものを、西日本では「黄白5本結び切り」のものを選ぶようにします。
表書きについて
掛け紙を選んだら、表書きを記入する必要があります。水引の結び切りの部分の中央にくるように「御供」「奉献(ほうけん)」「奉納」などを記入します。
大きなお店でお供え物を選ぶ際には、サービスカウンターなどで「神道なのですが・・・」と相談をすると、適切な掛け紙・表書きを選んでいただけることが多くあります。自分でも指定をしながら、担当の方と間違いがないか確認しながら選ぶことで、選び間違いを防ぐことができます。
お供えに決まりはあるの?生花や線香は大丈夫?
正しい掛け紙・表書きを知ったら、次に気になるのがお供えの中身です。どのようなお供えの品を選ぶのがいいのでしょうか。神道では、仏教で一般的にお供え物として選ばれる線香やキリスト教式のように生花を選んでも間違いではないのでしょうか?
神道のお供えとしてふさわしくないもの
仏教の法事では一般的な線香・ろうそく・抹香などは、神道では「神前に供えるものとしてはふさわしくない」とされているため、お供えとして選ばないように気をつける必要があります。
神道のお供えとしてふさわしいもの
神道のお供えで代表的なものとしては、果物・菓子・魚などの海産物・酒・五穀・故人が好きだったものが挙げられます。飲食物を選ぶ際には、個包装かつ常温で日持ちのするものを選ぶようにすると間違いがありません。
具体的には、せんべい・焼菓子・羊かんや容量が少なく小分けしやすいジュースなどがおすすめです。供物の相場としては、5,000~15,000円程度が一般的です。葬儀・法事の規模や故人との関係、持参する金封に入れる額などを考慮し用意をするようにしましょう。
果物を供える場合には「盛りかご」にすると見栄えもよくなります。
供花について
神道の葬儀や法事では、儀式の最中に榊を使います。お供えとして花を贈ることは失礼ではありませんが、事前に主催者側に確認してから贈るようにすることをおすすめします。花を贈ってもいいとされた場合には、白い菊や百合の花を贈るようにします。
故人が好んでいた花でも洋花や香りの強い花は敬遠されることがありますので、注意が必要です。
お供えと共に持っていく金封の書き方と水引の選び方
仏式では、葬儀や法事に「香典」を用意します。神式では「香典」とは呼びませんが弔慰金という意味合いで現金を金封に包んで持参することができます。お供えの掛け紙と同じように、東日本・西日本で違いがありますので間違わないように選びましょう。
金封・水引の選び方
「のし」のないものを選びます。水引は、東日本は黒白または双銀5本結び切りのもの、西日本は黄白または双銀5本結び切りのものを使います。
!注意!
蓮の花が描かれているものは仏式用のもの、十字架が描かれているものはキリスト教式のものですので選ばないようにしましょう。
金封の表書きについて
金封の水引の結び切りの中央にあたる部分には「御玉串料」「御霊前」「御神饌(ごしんせん)料」「御供物料」「御榊料」などを書きます。お供えも同時に持参する場合は、両方の表書きが同じにならないように気をつけましょう。
金封の水引の下の部分には贈り主の姓名を書きます。連名の場合は目上の人が右側になるように2~3名まで書きます。それ以上の人数で金封を渡す場合には代表名を書き、中袋に個人の名前を書くようにします。金封の表書きについては、薄墨の筆ペンを使うのが一般的です。
金封の中袋の書き方・金額の書き方・お札の入れ方などについてはこちらの動画で詳しく知ることができます。ぜひ参考にしてください。
【お香典の表書きと渡し方】
お札の表面を中袋の裏側になるように入れる、などはあまり気にしたことがありませんでした。これまで、気づかないうちに相手方に失礼なことをしていたかもしれないと思うと、反省です。
●豆知識● 「御神饌(ごしんせん)」とは?
金封の表書きに「御神饌(ごしんせん)料」というものがありましたが、神道になじみのない私にはなんのこと?という感じでした。なんとなく「御霊前」「御供物」は仏教でも使われますし、「御玉串」「御榊」は、神道の儀式で使われる、榊の枝葉のことだという予想も出来ましたが・・・。
神社や各家庭にある神棚には、毎朝お供え物をしなければなりません。そのお供え物のことを「神饌(しんせん)」あるいは御饌(みけ)・御贄(みにえ)と呼びます。「神饌(しんせん)」とは簡単に言えば、神様や亡くなって家の守り神様となった人の食事です。
神饌についてはいろいろな決まりごとがありますので、簡単に紹介します。神棚へのお供えに必要なものは、米・塩・水が一般的です。米と塩は「かわらけ」と呼ばれる土器や白い小皿に山型になるように盛ります。水も器に新鮮なものを入れます。
これらを三方(さんぽう)か折敷(おしき)に乗せて供えます。この時、正面から見て中央に米・右側に塩・左側に水がくるように配置します。三方や折敷は縁に継ぎ目がある方が手前に来るように置きます。
一般家庭ではこれが基本になりますが、神社になると魚や果物などもお供えされ、節句(暦の上での季節の変わり目)などの特別な日は、稲穂のままの米や米俵、初物や旬の物、他にも生きたカモなど豪快な神饌がお供えされます。
ちなみに「絵馬」も元々は本物の馬が奉納されていたものが簡略化されて今の形になっているんですよ!
まとめ
神道の作法にのっとって、お供えをする際の内容やマナーについて紹介しました。のし紙は「のし」のないものを選び、東日本であれば「黒白5本結び切り」・西日本であれば「黄白5本結び切り」の水引のものを選びます。表書きは「御供」「奉献」「奉納」のいずれかにします。
神道のお供えには果物・菓子・魚などの海産物・酒・五穀・故人が好きだったものなどから日持ちのするものを選びましょう。線香やろうそくは仏教のものですので、神道ではふさわしくありません。供花については、白い菊か百合がおすすめです。
香りの強いものは避けましょう。あわせて、神棚へのお供え「神饌」についても紹介しました。お供えとともに持っていく金封の書き方・選び方については、動画とともに確認することでより理解が深まったのではないでしょうか。私自身も、本当に知らなかったことが多く、とても勉強になりました。
家族を代表して出かける法事ですから、失礼のないように過ごしたいと思います。